デビルズ・レイク州立公園へハイキング【2007.5.27】

2007.5.25~31 アメリカ出張記:ウィスコンシン州の共同プロジェクト提携先と会合

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【5.27】デビルズ・レイク州立公園へハイキング

翌朝です。S氏がホテルまで迎えに来てくれました。「デビルズ・レイク州立公園」へ出発です。

デビルズ・レイク公園はマディソンから北西へ約60kmのところにあります。

O. ウィスコンシン州会議事堂
D. デビルズ・レイク州立公園

ルート12号を走ります。

郊外に出ればただちに酪農や穀倉地帯の景色が広がります。

「ソーク・シティ」(Sauk City)から川沿いを走ります。S氏が車を停めました。何があるのかな。

道路をパシャリ。

ウィスコンシン川(Wisconsin Riv.)です。釣りやボートを楽しんでいますね。

マスコットもピースサインです。

「Adopt a Highway」とは、市民ボランティアや企業が行政の代わりに道路の一部区間を清掃したり植栽をして道路環境を維持するシステムとのこと。その報労として団体名や企業名を看板に掲げることができるそうです。(アルク より)

カヌーやカヤック、キャンピンググッズのレンタル店にやってきました。S氏が店主と話をしています。

店舗裏からパシャリ。

のどかですねえ。天候もバッチリ。

帰りの時間を考えて、出発することになりました。

さて、デビルズ・レイク州立公園に到着です。湖岸の南北に観光拠点があるようです。

駐車場です。けっこう人がいるもんですな。

おっ、やってますね。ピクニック。

何やら建物があります。中に入ってみます。

休憩施設のようです。

お土産やピクニックグッズ、飲料水やスナック等を販売してます。ポップコーンやホットドッグの軽食屋さんもありました。

S氏が今回の行動範囲や公園について説明しています。デビルズ・レイクは私も初めてですが、こちらには説明がありませんな。アメリカ人はLady、New Face、Guestに優しいのです。

私は写真撮影に徹します。何度も訪米する割には写真を撮っていないので、今回はチャンスなのです。

踏切を渡ります。

ウィスコンシン州の鉄道網はしっかりしています。かつてはマディソンやミルウォーキー周辺で鉄道の開拓が盛んで賑やかだったとのこと。今は貨物用ですけどね。1週間に数本レベルなので、列車が走っているところに遭遇するとラッキーだったりします。

家族連れです。いい感じですね~。

森に入っていきます。

立て看板があります。少し和訳しておきます。

self pay station:無人料金徴収所
state:州   shore:湖岸
trail:山道   bluff:断崖
tumbled rocks:転落岩   ice age:氷河期
potholes:甌穴(くぼみ)   grottos:ほこら

山道の入り口でパシャリ。

ハイキングコースは整備されていました。初級者でも大丈夫そうです。

お、登るのか。

見晴らしのいい場所に出てきました。

これがデビルズ・レイクですね。

ラペリングを楽しむ方もちらほら。

今歩いている山道は湖東側の断崖頂に沿って南の観光拠点に向かうコースです。他にも森の中や湖岸沿いを歩くコースがあります。

少し高くなってきました。100mは登ったでしょうか。

デビルズ・レイク湖面の標高は405mです。ウィキによるとウィスコンシン州に600mを超える山はありません。最低標高は176mなので東西420km南北500kmの州全域を通じて標高差420mに収まる平らな地域です。

クラック(亀裂)のある向こう側の岩に乗ってはいけない、と、S氏から注意を受けました。時々、崩落事故があるそうです。

妙な形ですな。

こら、そこっ!

この辺り一帯はバラブー・ヒルズ(Baraboo Hills)と呼ばれ、15億年前(先カンブリア時代)の変成岩が至る所でむき出しになっている地帯だそうです。

少しサイエンティフィックの話をしましょうかね。その変成岩は石英を主成分とする「珪岩」で、硬く浸食耐性があります。特徴は赤い色をしていて、二酸化ケイ素に「赤鉄鉱」(Fe2O3)を含んだものです。宇宙誕生初期の核融合で生成した鉄元素は、今の地球ではほとんど中心核にありますが、表層にも存在します。40億年前に海が誕生した頃は海水の酸性度が高かったため、海中の鉄イオン濃度は高かったと言われています。32-27億年前に光合成生物の誕生と大量発生で酸素が生産され、大気中の酸素濃度が上昇を始める20億年前までの間、海中の鉄イオンと結合していきます。その間、海底に少しずつ沈降してケイ素と混合し、永い時間をかけて縞状鉄鉱層を形成していきました。そして後の地殻変動による隆起と経年浸食で地表に現れたのがこの赤い岩石のカラクリだそうです。

デビルズ・レイク公園のテーマは最終氷河期の地質や痕跡です。ウィスコンシンは今から1万2千年ほど前(氷河後退以後)から歴史の続く地域で、アメリカでは比較的文化程度に深さがあります。アフリカを出発した人類は十数万年をかけて中央アジア、または南アジアを経由してベーリング海峡を渡り、北米大陸へやって来ました。アメリカ大陸の先住民は旧モンゴロイドで、日本列島の先住民と遺伝子的距離が近いことも特徴です。

紀元前500年頃のウッドランド期初期では農耕の発達によって、生活様式がこれまでの狩猟採集から大きく変化します。紀元前500年と言えば日本列島では弥生時代の始まりの時期で、戦乱の続く中国大陸からやってきた移民が水稲稲作を持込み、列島もまた大転機の起こった時期です。この時期は氷河期ほどではないにせよ地球的な寒冷期で、食糧獲得の手段に改革を起こす必要性があったのでしょう。

歩いている時にそんな観点は微塵もありませんけどね。写真を撮っているので遅れがちです。ちゃんとついてきてるか、と時々、振り向かれます。

こういった森林深いところもあります。

デビルズ・レイク南岸の拠点です。

お、何だろ。。何やら面白いオブジェクトがありました。

人工物ではありません。「Devil's Doorway」と呼ばれるデビルズ・レイク公園の観光スポットの一つで、永年を費やした自然の彫刻です。諸行無常の世にあって調和の取れた部分だけ残ってます。しかしまあ、今にも崩れそうなんですが。。地震の多い日本ではちょっと考えられない光景です。

地球の寒冷期には何が起きるのかと言うと、北極圏の氷床面積が拡大します。前回の氷河期では南下した氷床がウィスコンシン北部を覆いました。このデビルズ・レイクはその境界の一地域にあたります。

この境界が曲者らしく、冬は極寒のツンドラで地面は凍り、夏には融けます。岩場でそれを繰り返すと岩が割れてしまうので、こんな光景になってしまうそうな。同じウィスコンシンでも数万年、氷床に覆われていた地域と無氷河地域では表層の地質が異なる結果となります。事実、現在の北部地域では森林や湖、湿地が広くを占め、南部地域は肥沃な土地でトウモロコシの生産や酪農が盛んです。
(ここまで参照:UW-Extension, Wisconsin Geological & Natural History Survey - Ice Age geology, 鉄の起源 宇宙の創造から生物の進化まで モノづくりの原点 科学の世界 VOL.15 新日鐵住金, Wiki, etc.)

けっこう絶壁です。高いところが苦手な人は怖いかも。

S氏が岩の間に挟まれていました。

岩肌と化したS氏でした。

これは、氷河期に氷床が流れてできた跡だそうです。小さな岩は岩に窪みを掘ります。

山を下ります。

こんな場所も歩きます。

麓には崩れた岩が散乱していました。こっちから登ったら印象が違っていたかも。

立て看板です。直訳で、デビルズ・レイクのオーク・フォレストはウィスコンシン州の中でもこの地固有の自然の特徴がある、と書いてあります。ウィスコンシン自然遺産の理解を促進するために保護されています。

オークと言えば建築材やウイスキー樽に使われているイメージなんですが、全く邪(よこしま)な思いつきですな。

湖畔に出てきました。こちらもいい雰囲気です。

ここはやはり沖に出てみるべきでしょうか。

というわけでボートをレンタルします。

なかなか愉快でした。素人が漕ぐと濡れます。

柔らか空気・のんびり中。家族連れが多いですねえ。

さて、そろそろ北拠点の駐車場に向かいます。

茂みを歩きます。

後ろをパシャリ。

先ほどの線路に出てきました。

なるほど、これなら迷うことはありません。

崩れた岩が山積しています。

線路を歩いたことのある人は分かりますが、けっこう歩き辛いです。硬い石が角張ってて足を捻ったり、時々転がってくれます。平坦なレールの上を歩きたくなるんですよね。

所変わって、州間道113号経路でマディソンに戻る道中です。
ここ「メリマック」という町からフェリーに乗ってウィスコンシン湖を渡ります。

ウィスコンシン湖(Lake Wisconsin)です。100年ほど前、ウィスコンシン川に「プレイリー・デュ・サック ダム」を建造してできた人造湖とのこと。広さは38km2で最大深度は12mです。

フェリーがやってきます。

対岸から渡ってきた車が降りてきました。艀(はしけ)ですね。

先に待っていた車を乗せて出発しました。乗用車なら15台が乗船できます。なお、このフェリーにエンジンはありません。2本のガイドロープが両岸間に張ってあって、もう1本のロープを対岸から巻き上げることで動きます。

次の乗船は15分後です。

アイスクリーム屋さんです。2人とも並んでいました。

おいしそう。自分も買えばよかった。

貨物列車がやってきました。姿を見せる前から警笛連発で存在感たっぷり。

走行音賑やかにゆっくりと鉄橋を渡っていきます。

さて、乗り込みました。

船号は「COLSAC Ⅲ」です。アメリカっぽい名前ですね。「COLSAC」は現地のコロンビア/ソーク族の言葉で「旅行かばん」の意味だそうです。

出発しました。さよなら、メリマック~。

陽が傾き、ホントにいい心地です。

5分で到着です。

走行再開です。

ガソリンスタンド(Gas Station)です。アメリカでガソリン価格はガロン(1gal≒3.785L)単位で表示されます。レギュラーが$3.37/gal(リッター89円)とはずいぶん高くなったものですな、2~3年前は$2ちょいだったのに。「プラス」とはオクタン価がレギュラーとプレミアム(ハイオク)の中間です。レギュラー車の場合、高地や夏の砂漠ならレギュラー、高負荷時にノッキング気味ならプラスなど状況で使い分けるようです。

郊外の景色です。

ちょいと休憩。

お馬さんがいました。パシャリ。

今のウィスコンシン州は酪農が盛んですが、150年前は全米屈指の小麦の生産州でした。当初は比較的低コストで高リターンの見込める小麦はいい収入源でしたが、気候的な作付け期間の短さや東/西海岸都市への流通コスト、疫病発生の歴史から徐々に競争力を失い、他の農作物生産に注力していったそうな。
(参照:Turning Points in Wisconsin History Wisconsin Historical Society

ルートが違っても景色は変わりません。

大昔は海の底だったと思うと感無量ですな。

マディソン市街へ入ってきました。なんでしょうか、この街中感。。

州会議事堂が見えました。

ホテルに戻るまでがハイキングですよ。

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